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コンサルタントコラム

2015年5月13日

◆ 「いい人」と「頼りになる人」の違いとは? ◆


「Aさんって、本当に“いい人”ですよね」
「面倒な仕事をお願いしても、イヤな顔ひとつしないですもんね」
「Aさんって、本気で怒ったこととかあるんですか?」

ある企業の管理職研修での一幕。Aさんについて同じグループの面々が思った
ことを口にしています。

滅多なことがない限り怒らず、頼まれた仕事を断らない。
協調性があり、自分の意見よりも周囲の意見を優先する。
皆様の周りにも、そんないわゆる“いい人”がいるのではないでしょうか。

「でも“いい人”って、あまり良い意味には使われないですよね」
「異性に言われると、喜んで良いのか分からない時がありますね」
「リーダーとしては、なんだか少し頼りないような…」

受講者3名が悩んでいると、ちょうど横を通りかかった講師が口を挟みます。

「それはおそらく、『信頼ポイント』を貯め込んでしまっているせいですね」
「『信頼ポイント』…ですか?」

オウム返しで尋ねた受講者に対し、講師は説明を始めました。

「信頼蓄積理論」とは1970年代に社会心理学者E.P.ホランダーにより提唱され
た理論で、一言で表すなら

「リーダーシップは、その人との信頼関係で決まる」

というもの。その信頼の大きさをわかりやすく表した言葉が「信頼ポイント」
です。

「Aさんの場合、周囲の方々から多くの信頼ポイントを得ていると思います。
 その点はリーダーとして大いに評価できます。しかし信頼ポイントは、貯め
 込めば良いというものでもありません」

「どういうことですか?」

「貯めたポイントは、使わなければ意味がないのです」

過去や実績を信じることが信用であれば、信頼は未来や姿勢を信じることと
言えます。

「あの上司ならやってくれる。だから自分は上司の言うことなら聞ける」
「彼/彼女なら期待通り、もしかしたらそれ以上のことをやってくれるかも
 しれない」

つまり、信頼ポイントは期待の表れでもあるのです。
しかし貯まる一方で「何かをやってくれない」、つまり一向に発揮されなけれ
ば、周囲からの期待を裏切ることを意味します。せっかく貯めた信頼を失って
しまうことにつながるのです。

有効期限のあるポイントカード。そのようなものをイメージしていただければ
分かりやすいかもしれません。貯めてから一年など明確に期限があるわけでは
ありませんが、使っていかなければポイント失効=信頼を失うことになってし
まうのです。

では、どういう行為がポイントを使うことになるのか。例えば、

・メンバーにより高い目標を課す
・ミスしたメンバーを、きちんと叱る
・新しい仕事を、積極的に任せてみる
・社内のルールを徹底させる

などがあげられます

「人によっては厳しく感じられ、多少相手との信頼を損なってしまうかもしれ
 ません。ですがこれをできるかできないかが、“いい人”と“頼りになる人”
 の境だと思いますよ」

相手のために。チームのために。
今まで貯めてきた信頼ポイントを使って、もう一歩、メンバーの懐に飛び込ん
でみてはいかがでしょうか。

“いい人”から“頼れるリーダー”へと成長できることはもちろん、それは
きっと、組織にとっても大きな一歩になっているはずです。

株式会社フェイス総合研究所 上野 涼