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コンサルタントコラム

2015年7月29日

◆ 「ほうれんそう」は“させる”ではなく“育てる” ◆


A社の管理職、吉本さん(仮名)にお話を伺っていると「ほうれんそう(報告・
連絡・相談)」の話題になった。

「ほうれんそう」はあらゆる組織でよく耳にする課題の一つで、悩む組織は
少なくない。しかし、吉本さんの所属する部署では上手くいっているという。

なぜ「ほうれんそう」がうまくいっているのか、吉本さんはその秘訣を一言で
教えてくれた。

「こちら(上司)からの情報開示を増やしました」

「これまで部署内の情報共有が滞って、問題が起こるケースがありました。
 その時に感じたことは、上司である私からの情報開示が少ないのではないか
 ということです。こちらからは何も情報を出さないのに、メンバーに報告を
 求めるのはフェアではありません」

「そこで部署の目指す姿や年間のコストの額、お客様からの声など、自分たち
 が所属する部署や会社のささいな情報も意識的に発信する回数を増やしまし
 た。すると不思議なことに関連する情報をあらゆる場面で上げてくれるよう
 になりました」

「『ほうれんそう』をしなさいよ」といくら伝えてもなかなか変わらないとい
う現状に頭を抱えている上司の方も多いのではないか。実際、私も「ほうれん
そう」ができないという相談を聞くことが多く、そのたびに色々な方法論を思
考錯誤してみる。しかし、一筋縄でいかないのが実感だ。

そこで「ほうれんそう」についてそもそもの在り方を調べてみたところ面白い
ことがわかった。

「ほうれんそう」というのは「させるのではなく、育てるもの」ということだ。

「ほうれんそう」の起源は1982年に山種証券(当時)の山崎富治氏が社内キャン
ペーンで初めて使われた言葉と言われている。そこでの意味は

「上司が組織の風通しが良くなるように『ほうれんそう』を育てなさい」

というのが主なメッセージだ。

つまり、「ほうれんそう」はメンバーだけの義務ではない。
上司がつくった土壌に「ほうれんそう」は育つ。

誰しも評価が下がったり怒られたりするであろう、バツの悪い報告はしにくい
ものだ。しかし、日頃からの信頼関係が上司とメンバー、組織内にあれば
「ほうれんそう」は自然と起こる。それが本来の主旨であり、上司の立場にあ
る人が育てるべき組織の状態だろう。

「ほうれんそう」が育った一つの目安として、山崎富治氏はこう述べている。

「私は、会社の“ほうれんそう”が立派に育っているかどうかの一つの目安は、
 イヤな情報、喜ばしくないデータなどが、何の粉飾もされずに正しく上に伝
 えられることだと思っている」

先に挙げたA社の吉本さんは情報開示という方法を使って「ほうれんそうを育て
る」ということに成功していると言えるだろう。

なぜ、うちのメンバーは「ほうれんそう」をしてくれないのだろう?

そのような悩みがあるとするならば、「上司本位の『ほうれんそう』になって
いないか」ともう一度土壌を見直してみるのはいかがだろうか。

株式会社フェイス総合研究所 取締役上席コンサルタント 針生 英貴