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コンサルタントコラム

2016年2月10日

◆ 両方やる! ◆


先日、担当させていただいた経営幹部の「未来を創る」ための研修の一場面。
そのチームのリーダー格の一人である河合次長(仮名)が、自身が描くこれからの姿を決める際に、覚悟を決めて言い放った大きくて重い一言。

「両方やります! 覚悟します!」
今回、社長と専務によって選抜された7名の幹部の中でも、河合次長は最も期待されておられる幹部だ。

上司からの評価も期待も。
部下からの評価も期待も、どちらも非常に高い河合次長は、その使命感と責任感の高さから、これからの会社に対して、自身がさらに大きな貢献をすべきことを研修が始まる前からご理解されておられたようだ。

しかし、研修のスタート時点の段階では周囲の同僚への配慮や上司への気遣い(今となっては意味のない優しさ)から、決意を口にすることに対して二の足を踏んでいるような状態でもあった。
実際にご本人も、そのことについて自分自身に対して歯がゆい想いを抱いていたように、私には感じられた。

弊社のオリジナル研修の一つ、上級管理職向け研修の「アポリア(※)」では、経営幹部に必要なことは『どちらか一つを追い掛けるのではなく、両方を実現させるための創造的な第3案を生み出す』あるいは、『矛盾を解決するためにストレッチ(120%以上の能力を発揮してギリギリ達成できる仕事や事業を意図的に行うこと)をする』ことが重要である、
と説いている。

※アポリア(Aporia)・・・ギリシャの哲学用語で「難問」と訳され、アリストテレスは『同一の事象に対して2つの異なる答えが同時に成立すること』と定義した。フェイス総研の研修では「矛盾」と訳す。研修のフロント・メッセージは「どちらか片方へ逃げるな」。

会社が発展・成長していくためには、目の前の業績の確保(短期視点)はもちろん必須の責務である。
一方、目の前の業績や売上ばかりを追い掛けてしまい部下育成(長期視点)が疎かになってしまっている組織の、なんと多いことか。

ある時、ある場面では経営者や経営幹部は「緊急で重要な事項」と「緊急でない重要な事項」の2つを追い掛けて、成果を出さねばならない時がある。

その場合はストレッチ(背伸び)やスクワット(圧縮)が必要であり、通常の2倍(あるいは3倍)の業務量をこなさなければ、成果に辿り着けないこととなる。

経営者や経営幹部の多くはこの矛盾する状態を克服するため、休みを削り、睡眠時間を削り、まさに「死に物狂い」で仕事に立ち向かっておられる(おられた)のだと感じる。

私自身を振り返り、リクルートで広告制作をしていた時代に「納期」と「品質」のジレンマに幾度となく悩まされた経験を思い出す。
営業マンが無理やり受注を決めてきた広告を作る際に「こんなに情報も、時間もなければ、お客様にご満足いただけるような広告が作れないじゃないか!」と、よく鼻息を荒げていた若かりし自分がいた。

今 振り返れば実に幼稚な思考であったか、と思う。
「できない理由」を先に考え、「できるためには何をするべきか?」という前向きな発想ができなかった稚拙な自分。本当にお恥ずかしい限りである。

話を冒頭に戻そう。
河合次長の「会社の発展・成長のために、自身が大変になることを覚悟し、両方します!」との力強い宣言。

その目の奥に着火した赤く燃え盛る炎を見た社長と専務。そして、同僚幹部の仲間たち。
今、熱い炎のリレーが始まり、一つの「強いチーム」がここに生まれた。
やがてこの炎は、それぞれの職場、そして部署へとリレーされ、会社の礎となるであろうことを私は確信した。

株式会社フェイス総合研究所 上席執行役員 四宮 敬仁