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コンサルタントコラム

2016年3月16日

◆ 視点が変われば世界が変わる ◆


大学時代に社会学を学んできた中で、今でも印象に残っている講義がある。
それは、「ものの見方が変われば、世界が変わる」というものだ。

講義を担当する教授は、わかりやすい例えを私たちに提示した。
『例えば、皆さんが小さいころ「学生闘争」というのがありました。
テレビで報道されるのは、大学内にバリケードを張り、ヘルメットをかぶりマスクをしている学生が拡声器で大声を出している姿。皆さんの中でもそのような姿をテレビで見たことがある人もいるかもしれませんが、これらの映像を見た視聴者はどう感じると思いますか?』
と教授が聞くと、
『「学生が暴徒化している」と見えます』とまじめな生徒が答えた。

『では、その学生が撮った映像をご覧に入れましょう』
学生側から撮った映像に移る光景は、バリケードを囲む警察の姿。
そこに映るのは、「学生を弾圧する警察」として見えた。

カメラの「視点」が変わったら、見える世界が変わった。
『このようにカメラの位置により、受け手である私たちは、何かしらのイメージを持ち、見える世界が変わります』
それまで、私は、私が見ている世界に疑うことなく、「ありのまま」として受け止めていたが、それが「事実ではなく、解釈」が入っていることに気づいた瞬間、ものの見方が変わった。

「真実というものはない。事実があり、解釈がある」と。
最近、この講義のことを思い出したのは、あらゆる社内でも同じようなことを感じるからだ。

上記した学生闘争のような「激しい」といえるほどの対立ではないが、『「営業部は自由勝手」と見ている管理部門に対して、「管理部門は現場をわかっていない」と見ている営業部』

『「社員は会社のことを考えていない」と感じる経営者に、「経営者は社員のことを考えていない」と感じる社員』

『「プロパー社員は世の中のことがとわかっていない」と感じる中途社員に、「中途社員は、会社のことを理解していない」と感じるプロパー社員』

それぞれ、自分が見て、解釈した世界観を疑わずに「正しい」と思いこんだところから対立の芽が生じてしまう。
そして人は、自分が「正しい」と思うことに対して、自身の価値観に基づいた考えを理論武装し、自己正当化をする。
そうした自己正当化による「自己都合」が蔓延することで、組織がおかしくなっていく。

解決していくには、まずは一人一人が、自分が見ているその世界観と価値観にとらわれない様に努めていくことが必要であろうし、自分の立場からだけでなく、相手の立場から見方を振り返ってみる、ということも考えられる。
ただし、これは「相手に合わせろ」と言っているのではない。

また、上記に掲げた社内対立のような状態になるのは、社内の「目的・目標(企業で言うところの理念)」が無いか、形骸化していることに原因を求めることができる。
目的・目標を共有し、機能(視点の変換、自己都合にとらわれない)し始めてくれば、対立は健全なものとなる。

もし、こうした「自己正当化」が起きていると感じたら、一度「目的・目標」を見つめなおし、自己の視点や価値観から離れてみてはどうだろうか?

株式会社フェイス総合研究所 上席執行役員 針生 英貴