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コンサルタントコラム

2016年4月27日

◆ 現場代表は、ヒーローになれるか? ◆


「現場は業務量がとても多くて、中堅がなかなか休みを取れない状況です」
「このままでは社員は疲弊してしまい、辞めてしまいますよ」
普段は物静かな中村店長(仮名)が、時として感情的に自分の意見を社長にぶつける場面を私は何度か見てきた。

中村店長は、中途入社してから5年が経つ。
「この会社で骨をうずめるつもりだ」
そういう思いで働いてくれることを、社長は少なからず嬉しく感じていたし、期待もしている。

しかし視点が「従業員に寄りすぎている」という点が、管理職として、店長を任せることや、それ以上の役割を担ってもらうのには、非常に物足りなく感じている。

しかし、社長としては中村店長の視点が「従業員に寄りすぎている」という点が、管理職として店長を任せることや、それ以上の役割を担ってもらうのには、非常に物足りなく感じておられた。

「中村店長は非常に真面目で、そこが良いところなのだが、ともするとアルバイト代表のような発言になってしまうのがとても残念だ」
「従業員側(一方)の視点だけで見るのではなく、会社側からの視点でも見てもらわないと、組織がダメになる」
そう嘆く社長は、とても残念そうな表情をされていた。

中村店長は
「社長は現場が見えていないので、自分が現場の実態を伝えないと・・・」
と、一見、使命感を持って話しているように感じるが、果たしてこの言動で中村店長は『現場の意見を汲み取ってくれるヒーロー』
のような存在となれるのだろうか?

答えは『否』である。
なぜならば、経営者がこの意見をそのまま採用することは、まず『無い』からだ。
管理職が経営者に現場の「不満」を声高に叫び、「不満」のままぶつけても、そのままでは経営者に意見・提案として受け取ってもらえることは、まず『無い』と言える。
そして悪循環が起こり、会社から現場には何のリアクションも起こらず、部下は会社への不満を増し、管理職は「頼りない」と思われてしまう。

米国の組織心理学者R.リッカート氏が提唱した組織とリーダーシップの関係に関する概念に『連結ピン』というものがある。
リッカート氏は人と人、人と組織、組織と組織を有効に結びつけ、コミュニケーションを円滑化する『潤滑油』の役割、あるいはそうした役割を果たす能力を「連結ピン」と呼び、リーダーやマネジメント層には、連結ピンとしての機能が求められる、としている。

この考え方に基づいて、管理職の存在理由を考えると、一つ目は、経営から求められる「要望」を現場のスタッフがやる気になるように「動機付け」に翻訳することであり、二つ目は、現場の「不満」を「提案」に変えて経営者に届ける。ということだ。

中村店長に限らず、現場の「不満」を「不満」のまま届けるなら誰でもできる。

冒頭に挙げた例で言えば、
「業務量が多く、従業員のモチベーションを考えると疲弊する可能性があるので、業務のこの部分をこのように改善したいと思います。それによって、業務全体が効率化するとともに、従業員のスキルアップにもつながります」
など、経営者が納得できるような道筋の『提案』を持ってきてくれれば、経営者も判断がしやすくなる、というものだ。

逆もまた然り。
「会社は今、厳しい状況だから、皆がんばれ!」
では何の工夫もなく、従業員のモチベーションは上がらない。

「現在、厳しい状況だが、これを乗り越えていくことで、私たちの未来にとって大きな力となる。どうかここは皆で力を合わせて乗り越えようじゃないか」
と伝え、自らも積極的に汗をかくなど、率先垂範している姿勢を見せなければ、部下は信頼してその上司について行こうとしないだろう。

そして、私が思うにたくさんの企業において、管理職として「連結ピン」の役割をキチンと果たしている人はほとんどいない。
その理由はいたってシンプル。
どちらか、片方に寄るのが簡単だからだ。

中村店長が、経営からも現場からも信頼されるリーダーになれるよう、今度じっくりと話をする機会を設けようと思う。

株式会社フェイス総合研究所 上席執行役員 針生 英貴