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コンサルタントコラム

2016年5月11日

◆ 頼りないリーダー ◆


先月のことである。昨年に引き続き、新入社員研修を担当させていただいた。

5人1チームにわかれて、チーム毎にミッションの成果を競い合う、3日間の合宿研修。
チームリーダーはそれぞれの班で話し合っていただき、選出してもらう。
そして、研修中の様々なミッションは、そのリーダーが中心となって進めて行くのだ。

私の場合、リーダーはあえて「日替り当番制」で決めてもらうようにしている。
もちろん、再選もあり2日連続で、あるいは3日間「通し」で、一人の人がリーダーを務める場合もあるし、3日間すべてのリーダーが交替する班もある。
その選択も、すべてそれぞれの班員(つまり、全メンバー)の方々の意思に委ねている。

A班のリーダー・坂本さん(女性・仮名)は、3日間「通し」でリーダーを務めてくれた。
片やB班の小山くん(仮名)は、初日に自身で立候補してリーダーになってくれたものの、意気込みだけは立派であったが、元来、人を引っ張っていくタイプではなく、こちらから見ていても「頼りないな」という印象が頻繁に見受けられた。
(リーダーに立候補してくれた理由は「引っ込み思案の性格を変えたかったから」という、賞賛に値する非常に敬意を表すべき理由であったのだが・・)

B班・2日目のリーダーの再選考においては、初日に「実質的なリーダー」としてチームを引っ張ってくれていた吉永くん(仮名)が、順当に選出された。
2日目のミッションも吉永くんのリーダーシップが大いに発揮され、初日の遅れを一気に取り戻し、研修が順調に進んでいった。

果たして最終日(3日目)。
A班のリーダーは、2日間リーダーを務めてくれた坂本さんに
「このまま引っ張っていって欲しい」、
「リーダーが変わることで良い流れを崩したくない」という理由で、
坂本さんが再々選。
3日連続でリーダーの重責を立派に果たしてくれた坂本さんには、大いに感謝したい。

さて、驚いたのが3日目のリーダーに、なんと!小山くんが再選されたことであった。
小山くんを推薦したB班の女性社員たちが口々にこう言うのだ。

「私は吉永くんがリーダーだと、あまりにも頼り過ぎてしまい、そのことで2日目は受身になってしまった。」
「初日の小山くんの方が『自分たちがもっと頑張らないと!』と思えたから、最終日は小山くんにリーダーをしてもらいたい!」
「小山くんは『守ってあげたい』って気持ちになるので、頑張れる!(笑)」

・・・なるほど。
彼女たちの推薦理由を聴いて、大いに得心した。

私の考える『理想のリーダー像』は、
ポジティブで精悍。
常に先頭に立ってガンガンと仲間を引っ張って行く。
そんな『頼もしい人材』こそが、
リーダーに向いていると決め付けてしまっていたようだ。

現代は、ダイバーシティーの時代である。
小山くんのようにリーダー像も多様化して然るべきなのだ。

良い意味で、
「出しゃばらないこと」
「周囲(仲間)の活躍の機会を奪わないこと」
で、チームの能力を最大化させることが出来る。

B班のメンバーは『グイグイ引っ張る型』の吉永くんよりも、『頼りないから一緒に頑張るよ!型』の小山くんがリーダーを務めた方が、自分たちのパフォーマンスが上がると、そう判断したのだろう。

もちろん、メンバー構成によっては吉永くんタイプのリーダーが最適であったり、坂本さんのように『バランス良く全体の意見を引き出しながら導いていくタイプ』が最適な組織・チームがある。

『頼りないけど、それが良きリーダー』
図らずも、小山くんから「新しいリーダー像」を学ばせていただいた。

株式会社フェイス総合研究所 上席執行役員 四宮 敬仁