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コンサルタントコラム

2016年7月13日

◆ 給与より評価 ◆


「頑張っても、うちの会社では評価されないのです」

東京都内の某メーカーA社に勤務する人事責任者 山内部長(仮名)にお話を伺った時の事である。

「ある一定の階層にいくと、給与が打ち止めになる。それ以上は頑張っても結果は一緒」
「ポストの数は限られてしまっているので、そこから外れた人をやる気にさせるのは困難ですよ」
「かといって、会社も厳しいので『給与をあげてくれ』とは言えない。どうやって社員のやる気を出させるか悩んでいてねー」

現場に足を運ぶ事が多い山内部長の表情は、社員の気持ちを代弁しているかのように見えた。

どうやら山内部長は、「評価=給与・昇格・昇進」と捉えているようだ。
そこで私は、先日、同じくメーカーであるB社の佐竹課長(仮名)から聞いた事例を話すことにした。

B社は、過去に好業績であった時期に会社全体の給与制度を作成され、業界内では相当高い給与設定をされていた。しかし後々、業績が厳しくなると、その制度が運用できなくなり、制度自体が崩壊してしまい、結果「お金」目当ての多くの方は辞められてしまった。
しかし、その当時から今も勤める社員、その後に入社された社員の皆さんからは、現在の給与制度に対する不満は聞こえてこないとのこと。
では、それはなぜでしょうか?

答えは、「評価されている」からである。

話を聞いている山内部長は「何を言っているんだろう?」という表情で私を見ていたので、私は説明をすることにした。

「そもそも評価と言うと、概して『給与、昇格・昇進』と捉えていますが、実際は『評価をした結果が給与であり、昇進・昇格』なのです」

では、B社では、どのような取り組みを行っているのだろうか。

それは、毎月の上司・部下の面談を実施していることにある。
以前のB社では、評価時期になると、一斉に1年を振り返って、面談をしていたそうである。1年前の事なんて、上司も部下もほとんど覚えていないであろう。面談の最中に手帳を開くものの、最近あった事に話が終始してしまう。
よって以前のA社では、評価の納得性が薄く、給与が高くても不満は多かったのであった。

そこで、給与制度を変更するタイミングで、毎月の上司・部下面談の実施に踏み切ったところ、部下はここぞとばかりに、日ごろ取り組んでいる事を活き活きと話し、上司もアドバイスや指示を迷うことなく出せるようになったそうである。
今では、その毎月の面談を部下が待ち遠しく感じているそうである。

部下にしてみれば、自分がやっている仕事を短期的なサイクルで、継続的に上司が見てくれるので、評価の納得性も高まると言える。
また上司からの話で、部下にも会社の現状がわかるので、「今、自分が会社の為に何ができるのか」と考えるようになったそうである。

山内部長は「それだったら当社でも出来ますね。早速、営業部長に相談してみます」との答えが返ってきた。

「最後にちょっといいですか?」
私は、はやる気持ちの山内部長を制して「一点、気をつけて頂きたい事があります」
と注意を促した。

「やるのは良いですが、安易にやるのはやめましょう。やり方を間違ってしまうと、制度は、運用者次第で成果が『0か100』になるどころか、『−100か、100』になります」
要点は、少なくとも、
1)面談時、上司は「上司目線」で話さずに「部下と同じ目線」に立って話を聴く。
2)高くて実現不可能な目標ではなく「やればできる半歩先の目標」に設定する。
3)「話してすっきり」を良しとせず、「具体的な行動」に落とし込む。
4)相手が身を乗り出すような、ワクワクする目標にする。
という点を補足した。

貴社でも、人事制度の見直しを検討する際には、参考にしていただければと思う。

株式会社フェイス総合研究所 上席執行役員 針生 英貴