トップページ >>取組事例・実績>> コンサルタントコラム

コンサルタントコラム

2016年8月23日

◆ 男子400メートルリレー銀メダルに学ぶ ◆


2016年8月19日(金)リオデジャネイロ五輪 陸上 男子400メートルリレー決勝。
日本チームが37秒60で、ジャマイカに次ぐ2位で銀メダルを獲得した。
日本選手のオリンピック陸上トラック競技での銀メダルは、88年ぶりらしい。
(これまでもトラック競技では、銀メダルが最高であったとのこと)

報道によると、優勝したジャマイカチームのウサイン・ボルト氏は、今回の日本チームに対し、「チームワークの勝利だ。バトンパスも素晴らしい。全く驚きはない。彼らはよくやり遂げたし、銀メダルにふさわしい走りだった」と称賛した。
またボルト氏は報道陣から、日本チームは3月からリレーの合宿を重ねてきたことで成果が実った話を聞くと、驚いた様子で「われわれと比べて練習量が断然に豊富だ」と苦笑いしたらしい。

この報道をテレビニュースで見た私は、仕事柄『組織運営にも活かせるヒントが得られるのではないか』と『なぜ銀メダルを取ることができたのか』を知りたくなり、色々調べてみた。

1)自分たちの弱点を知り、それを補う「やりかた(技術)」を追求
これまでの日本チームと比べれば史上最強でも、他の強豪国と違って100m9秒台の選手は一人もいない。そんな日本が各国との差を埋めるには、バトンパスの技術を極めることが必要不可欠だった。日本は15年前からタイムロスが少ないアンダーハンドパスを採用していたが、この技術を高めることで、走力を補っているらしい。今大会に向けては、走者が従来よりも離れた位置から腕を伸ばしてパスすることで、距離を稼ぐ改良型に取り組んだ。

2)豊富な「練習」とそこで芽生えた「信頼関係」
400mリレーでは、約10センチで0秒01タイムが縮まる計算。バトンパスを3回行うため、仮に個々が30センチ程度の距離を稼ぐことができれば、約0.1秒のタイム短縮効果が見込める。もちろんミスのリスクは高まるが、メンバーたちは練習を積み重ねることで、技術と共に信頼関係も構築していった。第3走者の桐生選手は、「思いきりスタートしても飯塚さんが渡してくれると信じていた」とインタビューに答えていた。

3)最後の一瞬まで「勝利」をとりにいく姿勢
本気でメダルを狙う日本チームは、決勝に向け「さらに攻めるバトンパス」に挑戦した。バトンを受け取る選手たちは、スタート地点より手前の自分で決めた地点に前の走者が迫ると走り始めるが、予選の時よりも走り始める地点を3回のバトンパスの合計で、距離ではおよそ30センチ手前にすることで最大限の加速を狙った。

リレー関連の情報を集めてみて、銀メダルの背景には以上の3つのポイントがあったのだと思った。
陸上競技には素人の私が勝手な推測を並べ立ててみたが、冒頭のボルト氏の言葉を思い返してみると、「全く驚きはない」と言っている。つまり「快挙」ではなく、言い過ぎかもしれないが「当然」ということなのだろう。

そして私は、この3つのポイントに緻密な「戦略」と、絶対メダルを取ろうという「情熱」を感じた。
これを、組織運営に当てはめて考えると、中小企業(日本チーム)は、大手(ジャマイカやアメリカ)とは違うやり方(技術)を追求し、情熱を持って練習を重ね、妥協なく勝利にこだわることが大事と言えるのではないか。

「自身の弱点を知らず、大手と同じやり方でやったとしたら」
「練習を重ねず、個々の力に頼ったとしたら」
「勝利にこだわらず、最後は守りの姿勢だったら」
結果はメダルに手は届いていたのだろうか?

そのようなことを考えさせられたのが今回の400メートルリレーであり、自分と仲間を信じて、ただ前を見つめて走った4人と、それを支えたスタッフの方々が与えてくれた「勇気」と「感動」に感謝するばかりである。

株式会社フェイス総合研究所 上席執行役員 針生 英貴