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コンサルタントコラム

2016年9月7日

◆ 一人でも多くのファンを増やすために ◆


企業ブランド構築のための広告宣伝費用を、大手企業なみに予算をかけられない中小企業にとっては『一人でも多くのファンを増やす』ために、様々な施策を取られていることだろう。

関東に9店舗の拠点を構える小売業のA社では、『一人ひとりのスタッフ』が『一人でも多くのファンを増やす』ためのプロジェクトを今年の春からスタートした。

そのプロジェクトを推進するメンバーに選ばれた内の1人に関根さん(仮名・女性)がいる。
メンバーは役職者や管理職の方が多い中、関根さんはシニアアルバイトという立場だが、ある管理職からの強い推薦があり、このプロジェクトに参加した。

プロジェクトで推進する内容は、現場で実際に起きている『個々の気遣い』を集約し『誰もができる』ようにしていくこと。
いわば『知・ノウハウの共有』を図っていくものだ。

そして、プロジェクトメンバーには『社内インストラクター』として、メンバー以外の人に『知・ノウハウ』を『伝えていくスキル』と、そのために必要となる『現場で率先するマインド』を持ってもらう。
しかし、普段は現場で率先することには長けていても、伝えていくことに関しては、ほぼ全員が素人。関根さんもその内の一人だった。

だが、2日間で行われたプロジェクト内トレーニングにおいて、メンバー個々のプレゼンとフィードバックを繰り返していく中で、関根さんの『伝える』スキルは、みるみると上達していった。

そんな関根さんが、最後のプレゼンで語った物語が、とても印象的だったので、以下に紹介したい。

お馴染みのお客様である佐藤様(仮名・女性)は、足の具合が悪く、いつも車椅子でご来店される。
ご来店時にトイレに行かれる際は、いつもトイレ前で車椅子から降りて、壁に手を当てながら伝い歩きをしてトイレに入り、用を足すとまた車椅子まで伝い歩きで戻って来られる。
そして佐藤様は、毎回トイレの後にお客様カウンターに置いてあるお絞りを取りに行かれることに関根さんは気づいた。
「大変そうだなあ」「なんとかできないだろうか」関根さんは想像力を働かせた。
足の悪い佐藤様が、わざわざそこまで行くのは大変だろうと感じ、佐藤様がトイレから出られるタイミングを計って、そこで何気なくお絞りを渡したそうだ。
佐藤様は、そこまで自分のことを見てくれていたことに、そして何より関根さんの、その気遣いにびっくりされたそうだ。
以後、関根さんが出勤をされていて、佐藤様がトイレに行かれる際には、いつも同じことをしているとのこと。
そして、その行為を続けていることで、お連れの旦那様が「いつもうちのがほんとにお世話になります、ありがとうございます」と、毎回のように感謝されるのだという。

お客様に『共感』し、お客様も『特別感』を感じた関根さんの行為は、佐藤様の心をつかみ、旦那様の心をもつかんだのだ。
きっと佐藤様は、帰られた後もどこかで、関根さんのことを話題にされているに違いない。

そうした気遣いができるからこそ、関根さんにはお客様のファンが多いのだ。

このトレーニングの当初は、しどろもどろな関根さんのプレゼンだったが、2日目が終わるころには、もし私が新人スタッフだったとしたら『自分もやってみよう』と感じさせられるくらいまで、関根さんの『伝える』スキルが上がっていることを私は実感した。
今後も、せっかくの『すばらしい気遣い』を個々のものにするのではなく、広めていくためのスキルを発揮してもらい、引き続き『一人でも多くのファンを創造していく』活動を広めていってほしい。

放っておいたら現場に眠ってしまう『知・ノウハウ』を共有していくために、このプロジェクトを通じて、大手には真似のできない、細やかな気遣いができるスタッフを増やしていく取り組みを、私も全力でお手伝いしていくことを改めて心に誓った。

株式会社フェイス総合研究所 上席執行役員 針生 英貴