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コンサルタントコラム

2016年9月14日

◆ 兄からの厳しいアドバイス ◆


私には3人の子供がいる。
長男は今春から就職をし、現在、大阪市内にある会社の寮住まいで研修の日々を過ごしている。
世の常と言おうか、世間様と同じように四宮家にも父親と長男の確執があり、私から見ると『口の減らない』なかなか生意気な息子である。
長女は大学4年生で、就職活動を一生懸命に取り組んでいるものの、なかなか内定がもらえず苦戦している模様。
そして次男は高校3年生で、来春の大学受験に向けて日々、受験勉強の毎日である。

先日、長男が約3カ月ぶりに西宮にある自宅に戻って来た。
だからと言って、特に豪勢な食事を用意したわけではないが、その日の四宮家の夕餉の食卓は、普段以上の賑わいであった。

長男は昔から、6つ年下の弟を可愛がる優しい兄であった。
親子の仲はそこそこ悪いが(笑)、兄弟同士の仲が良いことは私にとっては『最高の親孝行』なので、そのことに関してはとても嬉しく感じている。

社会人となって半年近くになり、ようやく落ち着いて来たことで余裕が出来たのか、次男の大学受験のことが気になって仕方がないらしい。
帰宅するなりスグに次男のところに行き、「ところで、勉強の進み具合はどんな感じや?」と、尋ねた。

次男は社交的な兄と姉とは真逆の性格で、実にシャイな男である。
口下手で自分の考えや想いを表現することが苦手であり、もちろん、国語が不得意科目。いつも国語の点数を取るのに苦労している。
日常生活の中でも、兄や姉と比べると、本当に『何が言いたいのか、わからない』と感じる場面が多々ある。

そんな次男が、兄の問いかけに対して
「いや、まぁ、なんか、それなりやわ・・・」と、もどかしげに答える。

それに対して、兄がピシャリと言い放つ。
「お前、そういう言葉の遣い方してるからアカンねん。言葉が思考につながるんや」
「言葉と同じで、お前の思考があやふやなんや。だからいつまで立っても頭の中で整理できひんねん。だから、ちゃんと覚えられへんねやろ」
「むしろ、受験勉強するよりも、ちゃんと物事を筋道や理論立てて考えられるようになって、頭の中を整理できるようになった方が、お前にとっては大事なことやで」

特に、本人なりに一所懸命に努力している次男にとって『受験勉強よりも大事』と言われてしまったことが、かなりショックだったろう。
何よりも弟のウィークポイントを直球(しかも豪速球)で突いたのである。
賑やかな夕餉の食卓は、一気に重たい空気となる。

真剣な面持ちの兄。図星を突かれて困惑する弟。
なんともやるせない空気が漂う。

そのピリピリとした空気の中に私が割って入った。
「お父さんはお兄ちゃんの言うてることが正しいと思うな。すごく厳しい意見やとは思うけど、お兄ちゃんはお前のことを真剣に心配してるからこそ、言ってくれたんやで」
「家族・身内・兄弟やからこそ、耳の痛い話をしてくれるねん。今のアドバイスはちゃんと受け止めといた方が、お前にとっては絶対にええと思うで」

その言葉に得心してくれたのか、弟の表情が少し緩んだ。
兄のアドバイスを前向きに受け止めることができたのだろう。

いつも甘えさせてくれていた兄から、予想外に飛び出した自分への厳しいフィードバック。
一瞬「裏切られた感」が、弟の頭を過ぎったかも知れない。
親の目の前で言われて、自尊心が傷つけられたかも知れない。

しかし、目の前の短期的な問題解決ではなく、長期的な課題解決をする場合には、いわゆる『耳の痛い話』を、お互いにし合えなければ良い組織、良いチームになることは困難である。
真実や本質をベースに、真剣に話し合う場がなければ、そこには『妥協』が生まれてしまう。

家族ももちろん、一つの組織であり、一つのチームである。
兄のファインプレーを見逃さず、何が正しいのか?を、的確にコーチ(あるいは監督)である私がファシリテート(整理)したことで、兄からの素晴らしいアドバイスを受け止めることができた次男。

そこに存在するものとして、傍観者になってはならない。
もちろん、親であれば尚更、子育てや子供の育成に最大の関心を寄せるべきである。
常日頃から積極的に「自分には何ができるのか?」を考え、行動してきた訓練(今の仕事で培ってきたもの)が生かされた瞬間でもあった。

株式会社フェイス総合研究所 上席執行役員 四宮 敬仁