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コンサルタントコラム

2016年10月5日

◆ 心理的安全(psychological safety) ◆


リーダーと呼ばれる人や経営者であれば、会議を進める中で『沈黙』は非常に無駄だと感じることが多いだろう。
限られた時間の中でビジネスをしているので、そのような状況になると最後はついつい指示をしてしまいがちになってしまう。
私もそうだった。

私が欲していた結論が出て(私が誘導して)、私自身その場は満足しても、メンバーはその行動に重要性を感じていないどころか、会議で決めたことが果たされない。
さらにはチームが『指示待ち』になってしまうことがあった。

そのような状況が重なり、悩んでいた当時の私に対して、上司から解決の糸口となる一冊の本を紹介された。

『チームが機能するとはどういうことか ――「学習力」と「実行力」を高める実践アプローチ』
(エイミー・C・エドモンドソン ハーバード・ビジネススクール教授著)

今日は、そこからのヒントを共有したい。

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2012年、グーグルにて「プロジェクト・アリストテレス」という生産性向上のためのプロジェクトが生まれた。
同社の人員分析部を中心に外部の専門家も交えて実施されたこのプロジェクトは、生産性の高いグループ(チーム)の共通項を探ろうと、さまざまな角度から調査を進めた。
当初『チームワーク』や『規範』に着目しながらも法則性が見つからず苦労し、最終的にはアカデミックな文献などに再度立ち返り、浮かび上がってきたのは『他者への心遣いや同情、あるいは配慮や共感』といったメンタルな要素の重要性だったという。
つまり成功するグループ(チーム)では、これらの点が非常に上手くいっているというのだ。
たとえば『こんなことを言ったらチームメイトから馬鹿にされないだろうか』あるいは『リーダーから叱られないだろうか』、といった不安をチームのメンバーから払拭する。
心理学の専門用語では『心理的安全性(psychological safety)』と呼ばれる安らかな雰囲気をチーム内に育めるかどうかが、成功の鍵なのだという。

そもそもグループ(チーム)の中にいる人たちの想いには、
『無知だと思われる不安』
『無能だと思われる不安』
『ネガティブだと思われる不安』
『邪魔をする人だと思われる不安』
こうしたリスクが潜んでいる。

そうした不安をクリアしていき、『心理的安全』を築くには、『仕事上の自分』ではなく、『本来の自分』をさらけ出すことが唯一の方法である。

では、具体的にどうすればよいのか?
『心理的に安全な環境をつくるために、リーダーは、直接話のできる親しみやすい人になり、現在持っている知識の限界を認め、自分もよく間違うことを積極的に示し、参加を促し、失敗した人に制裁を科すのをやめ、具体的な言葉を使い、境界を設け、境界を越えたことについてメンバーに責任を負わせる必要がある』(引用P193-194)

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いかがだったでしょうか?
私自身は同書を読んでみて、それまで会議メンバーには「何でも思ったことを言っても良い」と言っていたこと(境界を設けず)や、『リーダーである自分が知識の限界を認めるのは良くない』という思い込みがあったことに気づかされた。

『他者への心遣いや同情、あるいは配慮や共感』を実行していくには、最初は抵抗を感じるものと思う。自分自身も勇気が必要だったし、恥ずかしさもあった。
しかし「それは知らなかった」「それは分からなかった」など、私が自身の殻を徐々に壊し、率直に開示していくことで、メンバーの
『無知だと思われる不安』
『無能だと思われる不安』
『ネガティブだと思われる不安』
『邪魔をする人だと思われる不安』
は、少しずつ取り除かれていったことが感じられた。

今では、『心理的安全』はチームのコミュニケーションを活発化させ、チームの絆を強くしてくれた、と私は実感している。

株式会社フェイス総合研究所 上席執行役員 針生 英貴