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コンサルタントコラム

2016年10月26日

◆ 「真意」を理解することの重要性 ◆


「そういう意味で言うてたんとちゃうんやけどなぁ・・・」

大阪に本社を置き、広告代理店を営む中堅企業のA社。
普段は豪放磊落な吉本社長(仮名)が、珍しく眉間に皺を寄せながらそう呟いた。

それはA社から弊社主催の管理職研修に派遣された、北野課長(仮名)の『研修報告』を私が吉本社長にしていた時のことだった。

北野課長にご参加いただいた管理職研修の目的は、これまでの自身が取っていた行動の根っこにある『原因(パラダイム)』を本人が理解・納得することで、これからの自身の『あるべき姿』を自身の力で描いてもらう(未来に対しての行動計画を修正してもらう)、というもの。

その研修を進めて行く中、北野課長の行動特性には
『常に失敗を恐れており、新しいことにチャレンジすることが億劫・苦手』
という課題が明確になった。

根本原因となっているものの多くは心情的なものである。
その心情的なものを『自己開示』していただくことが、この研修での大きなポイントとなっている。

北野課長にその心情的な理由をお伺いした際に発せられた言葉が
「常々、尊敬する吉本社長から『他人に迷惑を掛けるような行動は、厳に謹んで欲しい』とのご指導を受けており、その言葉を意識すると、つい『失敗することを恐れてしまう』自分がいます」
と言うものだった。

確かに吉本社長、非常に礼儀正しい方であり、人格者でもある。
北野課長が証言するように、普段から
「他人に迷惑を掛けるような行動は止めてほしい」
とも、社員指導されておられる。

北野課長は、会社のルールや上司の発言に対して非常に従順であり、素直。
仕事に対する実直な人柄は、北野課長の『強み』でもある。

しかし、一方で【従順】・【素直】・【実直さ】が強みである方の多くに見受けられる傾向が、【慎重】・【受身】・【自己主張が苦手】という『弱み』。
(『強み』と『弱み』の関係は往々にしてコインの裏表のようなケースとなる)

真逆の行動特性を持つ方も多く存在しているし、まさに個性は人それぞれであり、時として厄介なものだと言えよう。

吉本社長ご自身は『超』がつくほどポジティブな方で、部下にも常に「失敗を恐れず、どんどん新しいものにチャレンジして欲しい!」と発破をかける。

北野課長についての評も
「むちゃくちゃ真面目でいいヤツなんですけど、頭が固過ぎると言うか。いろんなことを『やったらええのに!』と勧めるんですが、本人、なかなかやろうとせんのですわぁ〜(笑)」
と。

同じ吉本社長から発せられる言葉であっても、北野課長にとっては
「失敗を恐れず、どんどん新しいものにチャレンジして欲しい!」 
という言葉よりも、
「他人に迷惑を掛けるような行動は、厳に謹んで欲しい」
という言葉の方が響いていたのである。

そこで冒頭の言葉に戻る。
「そういう意味で言うてたんとちゃうんやけどなぁ・・・」

私は吉本社長の想いが痛いほどわかった。

『失敗すること=他人に迷惑を掛ける』ことでは、決してない。また、人間が成長する過程で『失敗』は不可欠なものだと思う。しかし、北野課長の『他人に迷惑をかけたくない』という美しい気持ちにも、爽やかなものを感じた。

私は研修の中で
「失敗することは決して他人に迷惑を掛けることではなく、そのことで大きな成果を生み出すことに繋がる」
ことなどを北野課長にアドバイスをし、北野課長もそのことにお気づきくださった。

結果、北野課長の新たな行動指針は
『維持は衰退。会社の成長・発展のためにも、失敗を恐れずに周りを巻き込みながら、自身のスケールを大きくしてチャレンジして行く』
となった。

今回のA社の事例を参考にし、私自身、部下に対してこちらが伝えたい真意が本当にきちんと伝わっているのか。
言葉の表面的・上っ面な部分が一人歩きしていないか。
改めて、自問自答し、反省・振り返りをしたいと思う。

株式会社フェイス総合研究所 上席執行役員 四宮 敬仁