トップページ >>取組事例・実績>> コンサルタントコラム

コンサルタントコラム

2016年11月2日

◆ 研修の効果を高めるちょっとしたコト ◆


今年4月、A社で新入社員研修を実施した。
OJTを交えながら半年をかけて、全4回にわたる実施のプログラムを組んでいた。

1回目はビジネスマナー。新入社員の基本中の基本である。
2回目はフォロワーシップ。新入社員でもリーダーシップを発揮できる、という考え方を学んだ。
3回目はマーケティング。アミューズメント施設を営む同社では、即戦力となる新人を育てるため、必要な知識である。

そして、4回目はこれら3つの内容の振り返りを行う。
それまでの3回では、毎回各自アクションプランを立てている。
毎月各内容に対して何を重点的に取り組むか、参加者自身で決めていく。
アクションプランがどれだけ達成できているのか、未達成であれば阻害要因は何であったのか。入社半年を経過して、今後どうしていくのか。
そういった振り返りを行う予定だった。

しかし、その4回目に事件は起きた。
参加者の一人、Kさんがビジネスマナーのテキストを無くした、と申し出てきたのだ。
「頼みますよKさん」
私は穏やかに言いながらも、心の中は不安が広がっていた。
このままプログラムを進めては望む結果は得られない。そう思った私は、他の参加者の方に向き直り一つ質問をした。

「この3ヶ月の中で、実践の振り返りとして、テキストを一度でも振り返った人はいますか?」

すると手を挙げたのは10人中、たったの2人。他の8人はあたりをうかがい、バツの悪そうな顔をしている。
当たってほしくない予感が的中し、私は自身の伝え方を反省した。
それから研修の在り方を改めて考えた。

研修の目的は研修をすることではない。その先にある行動変革、そして結果の変化が目的である。
また研修を実施するにあたり、大抵テキストが配られる。それは「その内容を実践してくれ」という講師からのメッセージだ。
だからその内容を忘れてしまっては、実践もへったくれもない。

忘却曲線で有名なエビングハウスによると、人間は忘れやすい生き物だ。学んだことをたった数時間で忘れてしまう。
そのために研修を企画する人は「効果が出ない」と四苦八苦している。

では研修で学んだことの効果を出すために、てっとりばやくできるコトとは何か?
人間は忘れる生き物である、という前提に立てば答えは至ってシンプルである。

『学んだことを振り返る』ただそれだけである。

使ったテキストを開くだけでいい。もし余裕があるならレポートやテストにしてもいい。さらに余裕があるなら、実践を振り返り、それを誰かとシェアする事も効果的である。
とにかく、この反復なくして知識は定着しない。それを踏まえて研修を長い目で見て企画する必要がある。

『学んだことを振り返る』
これこそ忘れずに続けていきたい。

株式会社フェイス総合研究所 上席執行役員 針生 英貴